「訪問看護は何をするの?」
「家でのケアってどんな感じ?」
訪問看護は知っているけど、実際、何をするのかわからないことがたくさんありますよね。
今回は、よいとこの訪問看護師・花水の1日に密着して、訪問看護の様子をお伝えできればと思います。
プロフィール
訪問看護師 花水 遥
2008年から新潟市民病院にて勤務。総合周産期母子医療センター、救命救急センター を経て、2019年から現職。
8時30分 情報収集
訪問前に各スタッフに提供されたiPadを使って情報収集します。夜間の緊急対応もリアルタイムで記録されているため、訪問前に確認ができます。情報は全てのスタッフがiPadで共有するのでスタッフ同士が相談しやすく、確認事項があれば、その場にいないスタッフも確認できます。訪問カバンをチェックして、消耗品を補充したり、電池切れや動作不良がないか確認して訪問に備えます。
9時00分 1件目の訪問
- 70歳代女性。糖尿病と認知症と診断。悲観的な発言が多く、食事摂取量の減少がある。
チャイムを鳴らすと夫が出迎えてくれました。居間にベッドを置いて、いつでも夫が様子を伺えるようになっています。挨拶をしても初めは返答がありませんでした。声をかけながらバイタル測定を行い、少しずつ身体の具合について聞いていきます。1週間分の薬が内服カレンダーに準備されているので、内服状況を確認し、次週の薬を準備します。リハビリテーションは、廊下歩行やROM訓練、筋に負荷をかけたトレーニングを行います。「今日はやりたくない。」と、初めは乗り気でない様子でしたが、続けていると一所懸命に取り組まれている様子に介護している夫も笑顔です。「悪い所はないのか。」と夫の相談を受けて、食事や清潔についてアドバイスをしました。
10時15分 移動
次回の訪問日を確認し、次の訪問先へ向かいます。必ず、安全運転に心がけます。訪問看護のトラブルで多いのが交通事故と言われています。移動中に、「体調を悪くしていないかな。」「うまく話できるかな。」と心配事が頭をよぎってしまいます。心の余裕がないと事故の元。時間的にも余裕を持って移動ができるように訪問スケジュールを組んでいます。
10時30分 2件目の訪問
- 1歳男児。気管カニューレ、経管栄養の管理が必要。
機嫌よく迎えてくれて、私も笑顔。バイタル測定も異常はありません。お母さんと一緒に入浴の介助を行います。気管カニューレのガーゼ交換を行ったら、経管栄養を注入します。私が見守っている間に、お母さんは買い物に行ったり、自由に時間を使ってもらいます。遊んでいる時間でも、時々吸引が必要でした。そのうちにお母さんが帰宅。お兄ちゃんの行事に合わせて、訪問のスケジュールを調整し、訪問終了の時間となりました。
12時30分 お昼休憩
事務所に戻って、お昼ご飯を食べて少し仮眠したり、コーヒーを飲んでゆっくりとします。
13時30分 iPadで記録
休憩の後は、次の訪問時間まで記録をします。一人ひとりがiPadを使って記録を行い、iBowと言う電子カルテシステムを使って共有しています。訪問時に撮影した画像や動画を共有できますし、指示書や薬剤情報を事務所でも訪問先などでも確認することができます。同じ記録を同時に閲覧することもできて、スタッフ同士で相談するときにも便利です。新型コロナ対応で直行直帰を取らなければいけない環境にもすぐに対応することができました。
14時00分 3件目の訪問
- 90歳代女性 皮膚疾患があり、洗浄と処置が必要。
今まで週3回通院して皮膚処置を受けていましたが、移動も苦労が多かったそうです。週3回、訪問看護に処置を依頼できてよかったとおっしゃってくれました。30分の訪問時間の中で、バイタル測定を行い、皮膚処置を行うとあっという間に時間が来てしまいます。
14時45分 4件目の訪問
- 80歳代男性 がんのターミナル期の利用者。腹部痛が増強し医療用麻薬を使用。
痛みの増強があり鎮静剤の内服が増えていました。訪問時は傾眠傾向でした。不安を取り除くように繰り返し声をかけながら、清拭ケアを進めます。点滴を交換し、褥瘡の確認をします。仙骨部に発赤がありますが、悪化はありません。家族と相談し尿取りパットを除去しムレを防ぎます。医師に本日の状態を報告し、妻に今後予測され状況を説明し、夜間や緊急時の連絡先を再確認しました。
16時00分 帰社
最後の訪問を終えて、事務所に戻ってきました。帰宅したスタッフでカンファレンスを行います。画像で皮膚の状態を確認し評価したり過去のデータを振り返り、カンファレンスを行いました。カンファレンス記録はオンライン上から確認ができるので、出先のスタッフもオンライン上で参加できたり、記録を確認し電話番に報告ができます。また必要な情報はケアマネージャーなどと共有します。
17時30分 退社
カンファレンスも時間内に終わり、定時に業務を終えることができました。普段から定時で退社できるように声を掛け合っています。業務終了後の電話対応や緊急対応は、電話番が担当します。月に数回、緊急連絡があることがあるので、緊急時はすぐに訪問や対応できるようにiPadや訪問カバンは持って帰ります。
まとめ
今回は訪問看護師の1日を紹介させていただきました。訪問の件数やタイミングは様々ですし、直行・直帰もあります。働くスタッフの雇用形態や事情、予定に合わせて柔軟にシフトを作っています。働き方やどんな風にケアしているのかなど聞いてみたいと思う方がいればご連絡をお待ちしています。
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